根掛り画像No.1 鮎(アユ)


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あゆは鮎・鮎子・香魚・占魚・年魚などを充てる。それぞれに含蓄がありスイカにも似た芳香を放つ故に香魚、一年でその生涯を終える故に年魚など趣がある。

秋酣の稲穂の垂れ始める頃に、わが身をボロボロに傷つけて川で産卵し一生を閉じる。その代わり卵から孵った幼魚は、海に下り翌年の早春には再び川を上る。

川石に付いたアカ(藻類のこと)を果敢に食べ夏場に大きく成長する。その食跡である「ハミ跡」は濃黒で見事な艶がある。

 成魚との出会いの場=友釣りは夏の風物詩でさえある。

友釣りは、ご承知のように鮎の習性を利用した伝統の釣法だ。野鮎は川底の石の周りなどに特異の縄張りを持っていて、他の鮎が入り込むと好からぬ侵入者とみなして勇猛に体当たりなどして攻撃し追い払おうとする。私たちは、たくさんの鮎が群れをなして仲良く(?)泳ぎ遊んでいる様を眼にすると、つい鮎の貪欲な戦闘性を見過ごすかもしれない。

このことが命取りになるのだから世の中複雑だ。
釣人は釣鈎を引っさげた囮鮎を泳がせてその縄張りへ導く。攻撃を仕掛ける敏捷な野鮎VS慌てる囮鮎、
この修羅場の寸劇の中で瞬時微妙に「釣鈎」が野鮎の身に引っ掛かるという言えば単純な仕組み。

掛かった野鮎は一瞬わが身に何が起きたのか理解できないであろう。立場が変わり慌てふためき怒涛の如く暴れ、疾風の如く走る。
囮鮎を繋げたままの壮絶凄まじい動きが竿先を経て手元に伝わる。釣人が一番緊張し至福なときだ(担当子はそう思う)。

緊張は取り込む迄まだ持続する。釣人は2尾の鮎の動きに合わせ竿を立て移動したり、道糸を張ったり緩めたりしながらそのチャンスを伺う。


ついに釣鈎で繋がった2尾を同時に水中から引き抜き、宙を飛ばし素早くタモ(玉網)に受ける。取り込み完了だ。
この野鮎はすぐ次の囮鮎にとって変わる。

友釣りは初夏から猛暑炎天の盛夏を経て初秋までの長岐にわたり釣人を惹きつけて離さない。



蛇足‥‥鮎は古事記や日本書紀に登場し、大友旅人や家持が万葉集に詠んだ。紀貫之は土佐日記の中で興味を示したという。未確認だから信用無用に願いたい。


また源氏平家の時代に貴族がコンロで鮎の塩焼きする絵図があったり、江戸時代に幕府の献上品として鮎鮨が珍宝であった。

鮎は食用として美味でもある。

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