全日本男子チームコーチ酒巻氏を招聘しての強化練習について
とやま国体少年男子チームコーチ 山本幹雄
平成11年12月11日(土)、12日(日)の2日間、全日本男子チームコーチ酒巻氏を迎え少年男子・成年男子 合同での強化練習を行った。練習会では、少年男子としてのこちらからの要望もふまえ、次のことを主に練習及びゲー ムを行った。 @ プッシュパス(スクエアパス) A 0歩or1歩でのシュート(3人のボール回しから) B DFのあたり方(1対1での) C 速攻におけるOF、DFのポジショニング(3対2、3対3の連続速攻) D ポストを利用したOF(3対3) また、11日(土)の練習後には、国体へ向けての心技体についての講話もしていただき大変有意義な2日間となった。 @ プッシュパス(スクエアパス) ・ 大きく振りかぶらず、肩の位置からコンパクトにパスを出す。あるいは、バックスィングしないで素早くワ ンツーパスをする。パスの高さが一定になるためミスがなくなると同時に、腕を上げることによって高低差 が生じ、パスミスを起こしやすくすることを防ぐ。 ・ 特にスピードの要求される速攻時のOFでは、振りかぶって投げるより数段効果的である。 ・ セットOFでは、DFを引きつけてのパスに有効である(特にスウェーデンチームがうまい。45度から逆 の45度に素早く振れる)。 ・ スクエアパスでは、右手にパスし、走りこんでパスをもらい、対角にパスして走りこんだ時、最前列の人の 手をタッチして、元の位置に(対角を)ダッシュで戻る練習をした。飛び交うボールや走るプレーヤーをう まく避けて走らねばならず、瞬間の判断力を養うこともできる。慣れてくれば、ボールを2個入れると、さ らに効果がある。 A 0歩or1歩でのシュート(3人のボール回しから) ・ センター、両45度の3人の平行ボール回しからのシュート。パスする時は、必ず前をねらい、シュートチ ャンスを窺う。スキあらば(DFが前へ詰めなければ)シュートする。パスをもらうときは、DFの位置を 見ながら動き、常にDFをかわしてボールをもらうようにする。必ず走り込んできてボールをもらい、0歩 または1歩で打てるタイミング・位置取りをする。この練習を行うことによって、DFをかわしてシュート を打てるので大変効果的である。 B DFのあたり方 基本的な約束事として、次の3点を設定して練習した。 ・ 3対3や4対4の時に、DFはOFの利き腕側から守るように心がける。 ・ 利き腕側に来たら、キャッチ(ホールド)し、動きを止める。 ・ 逆側に来たら、プッシュし、間に入れさせない。 C 速攻におけるOF、DFのポジショニング(3対2、3対3の連続速攻) ・ OFはDFに近づきすぎない(前の状況を見るため)。スピードが速くなると視野が狭くなる。DFに近 づくとDFが視野の多くを独占してしまい、他のプレーヤーの動きが判断できなくなる。 ・ OFはパスをしたら前の状況を見て(ただやみくもに走らない)、次は走り込んでボールをもらう。 ・ OFは1人遅れて走る(全体を見れる位置を走る)。いつでもこのプレーヤーにパスを返せば、適当な場 所へパスを回せるという態勢をつくる。 ・ OFは広がって状況を見ながらプレーする。DFを広げる・パスでDFを大きく揺さぶる・勢い良く走り 込む・視野を広くする、等の利点がある。 ・ DFは自分のゴールに近い方からマークをとる。やはり一番怖いのは近くの敵であることを忘れてはなら ない。 ・ DFは必ずマークとボールを視野に入れる。同時に見れない場合は、交互に絶えず確認する。ボールを持 っているプレーヤーが一番怖いが、ボールを持っていないプレーヤー、次にボールをもらおうとするプレ ーヤーに有利な位置取りをさせないように、先手を打った位置取りをしなければならない。 ・ ドリブルなし(スピーディーな展開)、1回クロスを入れる(マークチェンジによるタイムラグを利用し、 展開を有利にする)等の条件付きも行った。 D ポストを利用したOF(3対3) ・ ポストのブロックをしっかりと行う練習として、バスケットボールのサークルを利用した4対1でのブロ ック練習を行った。3人で回りを囲みパスを回し、真ん中にDFとOFの1対1で位置取りをする。DF はパサーとポストの間に入ろうとするが、ポストはその前に、パスをもらえる位置取りをする。しっかり 腰を落とし、ブロックをうまく利用すると、比較的簡単にパスをもらえる。 ・ 4つのパターン(横のスペースを利用=センター横ブロックから横移動でパスをもらう。縦のスペースを 利用=45度縦ブロック後、出てきたセンターDFの下に走り込む。空走り=45度の空走り・ポストの空 走りを利用し、空いたスペースへ走り込んでパスをもらう。中間ポスト=45度DFが前へ出たら、少し浮 いてパスをもらい、フェイントからシュートへ持ち込んだり、走り込んでくる45度にリターンパスを返し たりする)。 最後になったが講話については、各目標における心・技・体のピラミッド(頂点から心・技・体の順番)をつくり、 それらがバランス良く構築されることによってはじめて、目標が達成されるという話をされた。 各目標(県bP、日本bP、World Champion)のピラミッドの大きさは違うが、心技体のうち1つでもそろわないと ピラミッドができない。例えば、体(トレーニング、食事、休養によってできる)がないと心技が十分にあってもピラ ミッドは崩れてしまう。そして、みんな優勝を目指し練習をしているが、優勝というものは一瞬でしかない。だから、 それまでの課程が大切である。国体の本番で自分達ががんばってきたという姿を見せられるかどうかが大切である。周 りの人を感動させられるかどうかが大切である(熊本国体では少年男子チームは、決勝終了後サイン責めに会った)と いう話を聞き、まさにチャンピオンスポーツを目指す人間の原点を見詰め直させられるような、すばらしい講話であっ たと思う。 今回、酒巻氏に指導していただいたことをスタッフ一同がしっかりと理解して選手達を指導し、力量を高め、さらに 応用発展させ、2000年とやま国体では良い成績につながるよう、1日1日を大切にがんばりたいと思っている。