大名の家格

加賀本藩系図 七日市支藩系図 富山支藩系図 大聖寺支藩系図
加賀前田家 加賀藩の石高 加賀八家 四家大名家老
加賀藩の城代 前田慶次郎 高山右近 長町武家屋敷
大名の家格 豆知識(余談) 長州藩毛利家


大名の家格には国主・準国主・城主・準城主・陣屋・居館などがある。

国主 1国以上かそれに相当する広大な所領を持つ大名に高い官位と格式が与えられる。
加賀金沢前田家・薩摩鹿児島島津家・陸奥仙台伊達家・長門萩毛利家・出羽米沢上杉家・肥後熊本細川家・筑前福岡黒田家・安芸広島浅野家・肥前佐賀鍋島家・因幡鳥取池田家・備前岡山池田家・伊勢津藤堂家・阿波徳島蜂須賀家・土佐高知山内家・筑後久留米有馬家・出羽秋田佐竹家の外様大名16家と越前福井松平家・出雲松江松平家の譜代大名2家を併せた18家がある
準国主 国主に準ずる格式を与えられた大名
伊予宇和島伊達家・筑後柳川立花家・陸奥二本松丹羽家の3家
城主 国主・準国主以外で、居城を持つ大名
近江彦根伊井家播磨姫路酒井家越中富山前田家加賀大聖寺前田家など
準城主 城は持たないが、城主と同じ待遇を受ける大名
陣屋 城を持たない上野七日市前田家など陣屋を持つ小大名
居館 無城の大名や交代寄合の居館


江戸城中での詰所(席)
大名には大廊下・溜間・大広間・帝鑑間・柳間・雁間・菊間の7つの席が決められていた。

大廊下詰
上部屋
江戸城本丸大廊下の上部屋に席を定められた大名。将軍縁者
御三家(尾張徳川家・紀伊徳川家・水戸徳川家)当主と嫡子。
*水戸は定府・尾張・紀伊はどちらかが在国
大廊下詰
下部屋
江戸城本丸大廊下の下部屋に席を定められた大名。将軍縁者
加賀金沢前田家越前福井松平家・因幡鳥取池田家・阿波徳島蜂須賀など、諸大名の中で最も席次が高い。
溜間詰 黒書院溜間に席を定められた大名
岩代会津松平家・伊勢桑名松平家・近江彦根伊井家姫路酒井家など、家門と名門の譜代大名の他老中を長年務めた大名。
大広間詰 大広間に席を定められた外様大名(従四位下以上)
薩摩鹿児島島津家・陸奥仙台伊達家・長門萩毛利家・出羽米沢上杉家・肥後熊本細川家・筑前福岡黒田家・安芸広島浅野家・肥前佐賀鍋島家・因幡鳥取池田家・備前岡山池田家・伊勢津藤堂家・阿波徳島蜂須賀家・土佐高知山内家・筑後久留米有馬家・出羽秋田佐竹家・松江松平家(越前系)・越中富山前田家加賀大聖寺前田家など国主・準国主格で、10万石四位以上の官位を持つ外様大名など家門の大名
*仙台伊達家、薩摩島津家のいずれかは在国
帝鑑間詰 白書院帝鑑間に席を定められた譜代大名(従四位下・従五位下)
徳川一門である御三家の分家・越前家の分家・準城主以上の譜代大名。
柳間詰 大広間と白書院の間に位置する柳間に席を定められた外様大名(従五位下)
7万石以下で五位の官位を持つ外様大名・大広間詰の外様大名の分家・表高家など上野七日市前田家が着座した。このクラスの大名でも四位に叙任されると大広間詰に昇進できる。
雁間詰 白書院と黒書院の間に位置する雁間に席を定められた大名
城主格以上で10万石以下の譜代大名と高家が着座した。雁間詰の大名は詰衆とよばれ幕政に参画することが多く老中に選ばれるのはこのクラスの大名。淀稲葉等
菊間詰 白書院と黒書院の間に位置する菊間に席を定められた大名
無城譜代大名、2万石以下で陣屋・居館の譜代大名や一部の旗本で、大名の席次としては最下位


官位・官職(序列基準)
官職の上下関係は
順に、太政大臣・左大臣・右大臣・大納言・中納言・参議・中将・少将・侍従・四品・諸大夫 (しょたいふ)となる。
官位との対応は
従一位(官職最高位)・従二位(左大臣・筆頭長官)・従二位(右大臣・長官・大納言)・従三位(中納言〜中将)・従四位(少将〜四品)・従五位(諸大夫)

従一位
(じゅいちい)
太政大臣(官職最高位)
公家
従二位
(じゅにい)
左大臣(筆頭長官)
公家
従二位
(じゅにい)
右大臣(長官)・征夷大将軍(幕府の代表者)
徳川将軍家
従二位
(じゅにい)
権大納言(ごんだいなごん)・大納言(だいなごん)
尾張家・紀伊家・加賀前田家
従三位
(じゅさんみ)
権中納言 (ごんちゅうなごん)・中納言 (ちゅうなごん)・参議(さんぎ)
水戸家・御3卿
従四位上
(じゅしいじょう)
中将(ちゅうじょう)
水戸支流の高松松平家・彦根伊井家・外様大名の薩摩島津家・仙台伊達家
正四位下
(しょうしいげ)
中将(ちゅうじょう)
徳川御家門の越前福井松平家・会津保科松平家など
従四位下
(しょうしいげ)
少将(しょうしょう)・侍従
徳川御家門・外様国持大名など
老中・京都所司代は従四位下侍従
従五位下
(じゅごいげ)
諸大夫
10万石クラスの国持大名で叙任後30年ほど経ると従四位下に昇進することが特例、譜代・外様は従五位下 が一般的になる。

律令制度(官職) 現在の内閣
従一位太政大臣(官職最高位)・(太閤) 総理大臣
従二位左大臣(筆頭長官)・(関白) 官房長官
従二位右大臣(右近衛大将)・(征夷大将軍) 防衛大臣
大納言・中納言(公卿補任) 省庁大臣・長官

*従一位太政大臣(官職最高位)と従二位左大臣(筆頭長官)は公家しかなれないが、特例として天正15年(1587)豊臣秀吉は従一位太政大臣(太閤)になる。


余談
■御3卿(中納言一橋家・中納言清水家・中納言田安家)
8代将軍吉宗(紀州家)が、将軍の血筋をプールしておくのが目的で作る。
御3卿は大名・藩ではない。家来も身の回りに必要な人数だけで、生きて健康に暮らすことだけの役割(義務)で、他に役目・役職・実務もない。

■中納言水戸家
中納言水戸家は将軍家補佐役(副将軍)で、水戸家だけは参勤交代の義務が無く、江戸屋敷に常住する特権が与えられているが、将軍の養子は水戸家を除く大納言紀州家・大納言尾張家の2家と「御3卿」の家から選ばれる。

大納言前田家
加賀前田家は外様だが、大納言・中納言の格式を持ち「御三家」と同格になる。

■徳川御家門(松平家)
将軍家の男子で大名となった家とその分家と家康の異母兄弟の流れなどが、御家門とされている。
将軍家系 越前福井松平家・越前系糸魚川松平家・越前系津山松平家・越前系松江松平家・越前系広瀬松平家・越前系母里松平家・越前系川越松平家・越前系明石松平家
尾張徳川家系 尾張系高須松平家
紀州徳川家系 紀州系西条松平家
水戸徳川家系 水戸系高松松平家・水戸系守山松平家・水戸系府中松平家・水戸系宍戸松平家
久松家系 久松系松山松平家・久松系桑名松平家・久松系今治松平家・吉井系吉井松平家
奥平家系 奥平系忍松平家

*徳川御家門筆頭は越前福井松平家


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